韓 丘庸





ロシア児童文学の世界


 ロシア民話の『おおきなかぶ』をロシア語の授業でやった時、そのリズムが面白かったので、クラスで5~6名ずつ班に分かれて交互に読み合わせをやったら、学生たちが喜んで、それを口癖のように遊び時間に言い合って楽しんでいたのを思い出す。
 周知の通り世界の文豪を輩出したロシア文学は、朝鮮人にとっても日本人にとっても古くから親しまれた世界文学の一つでありその位置付けは高い。児童文学もしかりである。
 殊に同じ社会主義を標榜してきた朝鮮民主主義人民共和国は最も親密な同盟国ということで、中国と共に外交から文化までそれは日本の比ではない。ロシア児童文学の輸入も翻訳も積極的に各級学蚊のロシア語習得には欠かせない材料として他の言語を遥かに凌いでいる。
 ロシア・ソヴェト児童文学が表舞台に出てくるのは19世紀の中葉であるが、当初はネクラーソフ、ツルゲーネフ、レフ・トルストイなど成人文学者による民潭や説話寓話などの蒐集や再話が主な子ども向けの文学であった。
 その後本格的な動きがゴーリキーから殆まり、パンテレーエフの『金時計』(1928)、ガイダールの『ポリスの冒険』(1930)、カターエフの『連隊の子』(1944)、ヴォロンコーワの『町からきた少女』(1950)と発展する。
 この度、国立国会図書館国際子ども図書館で開かれている「ロシア児童文学の世界」(Russian Children's Literature from folklore to Contemporary Fiction)では、第1部で口承のお伽噺や伝説、民話、帝政時代からロシア革命を経て、ソヴェト政権時代、その後のペレストロイカで社会主義体制崩壊から今日までと、四つのセクションに分けてその史的流れを詳細に展示し、第2部では帝政末期のビリービンや、革命後のマルシャークとペアーを組んだレーべジェフ、動物画のチャルーシン、国際アンデルセン賞を受賞したマーヴリナなど、豊かで華麗な筆致を披露してくれている。
 昔話から現代の作品まで、絵本としてはかなりの数が紹介されており、多岐に亘ったジャンルの層の厚さやグレードの多様さもまた抜群である。
 尚、今年の秋からは、野間国際絵本原画コンクールで入賞したアジア・アフリカ・ラテンアメリカの「原画絵本展」が開かれるという。
 最近、児童文学と成人文学との境界線が見えにくくなり、その一方で子どもの本が書店の片隅へどんどん押しやられていく昨今、こうした児童文学独自のイベントが企画されることは大いに意義のあることである。今後は東京だけでなくもっとより多くの地域で開催されることが望ましいと思っている。







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